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第8回(令和元年度第1回)認知症リンクワーカー・フォローアップ研修を開催しました

2019年06月27日
 京都府では、認知症初期集中支援チームと連携しながら、認知症の人やその家族の不安に寄り添い、必要なサポートを行える専門職(認知症リンクワーカー)を養成するとともに、研修修了者に対し、フォローアップ研修を行いましたので、その概要をお知らせします。

1 日 時 令和元年6月27日(木) 午後1時15分~午後4時15分
2 場 所 京都府医師会館3階 310会議室
3 参加者 105名(うちリンクワーカー養成研修修了者:26名)
4 内 容 
  講演「認知症の人の「はたらく」」
   講師:NPO町田市つながりの開 理事長
      DAYS BLG!    所 長 前田隆行氏
  グループワーク「DAYS BLG!の実践から学ぼう」
   進行:一般社団法人京都社会福祉士会会長 福富昌城氏
   アドバイザー:前田隆行氏
前田さん.jpg

全体の様子.jpg


5 グループワーク結果
  グループで前田さんへの問を考え、1つだけ質問

 Q.企業へのアプローチについて、具体的にはどのようにプレゼンするのか。
 A.全国に支店をもつ企業と、地域の企業の両方にアプローチをかけようと考えた。
   トップダウンはダメだろう、ボトムアップだろうと考えた。(トップダウンでは現
   場の職員はやらされているという思いになってしまう)
   全国展開している企業を狙ったのは、やりたいと思ったところが、後に続けるだろ
   うと思ったから。地域の企業は、「認知症でも関係ないから、働いてくれよ」とい
   う反応だった。
   ホンダも最初は断られた。でも、翌日も行く。そうこうしている間に、事業所の物
   件がホンダの隣に決まった。メンバーと一緒に営業に行く。どういうことだったら
   やれる、とメンバーが語るのを、直接聞いてもらいたかった。毎回断られたが…ほ
   ぼ毎日、店長が手が空いてそうな時間に行ったら、居留守を使われた。メンバーと
   一緒に、お店の外から笑顔で手を振る。事態が動いたのは、店長が替わったことが
   きっかけだった。でも、毎日通っていないと店長が替わったことも分からなかった。
   店長と話をしていて、「メンバーさんは隣の事業所にいるんですか?」と質問され
   たが、実は隣にいたのがメンバーさんだった。認知症の人は何もできない、と思っ
   ていた、知らなかった。本人と話す機会ができて、そこから動いていった。
   ホンダが動くと、トヨタから声がかかるようになった。事業所の車はメンバーさん
   の希望でBMW(中古)を使っていた。すぐに故障し、修理費が高額だったことか
   ら、日産、トヨタ、今はホンダを利用している。

 Q.本人が来られるようにするため、地域連携はどのように行っているか。
 A.DAYSBLG!に参加したい方について、5割はケアマネジャーからの紹介。3
   割が家族から。2割は本人が自ら連絡される。ケアマネジャーに、いかに持ち札の
   中にDAYSBLG!を入れてもらうかを考えた。ケアマネジャー対象に、働きた
   い人のためのケアプランの持ち方の研修会を開催し、知ってもらう試みをした。
   地域の情報紙に、直接連絡を入れると、取材に来てくれる。その記事を見た地域に
   住んでいる、元新聞記者、メディア、現役記者につながる。
   PRが大事。いかに事業を知ってもらうか。そのうち広告費をかけなくても取材し
   てもらえるようになった。

 Q.企業との交渉でトラブルや、洗車で想定外のことが起きるなど、失敗例とその時の
   対処法があればお伺いしたい。また、支援者評価と本人評価にギャップがあった
   場合、どう対応しているか。
 A.失敗の連続。企業へは飛び込み営業を続けていたが、100件で1件話を聞いてくれ
   ればいいという状況。しかし、「時間無いから」と言いつつ、窓口に出てきてくれ
   ると、「ちょっとの接点ができたかな」と思う。ショックを受けない、それをいか
   にプラスに昇華していくか。
   想定外の出来事はある。いろんな車に傷がついているが、「私は見ていない」、傷
   がついてたよ、ということを報告する。当初は、傷がついているだけで、社員から
   「BLG!の人達が付けたんだろう」という声がでていた。しかし、そこで認知症につ
   いて知ってもらう。展示している車だが、実は自分が傷をつけてしまったこともあ
   った。ここで強かったのがボトムアップだったこと。こういう時のために保険に入
   っている、という話をしてもらった。
   支援者評価と本人評価は、その場でそのギャップを埋めていくしかない。「窓拭
   いてください」といった時に、「私はこんなことしに来たんじゃない」と言われる
   こともあるが、「じゃあ、どうしましょうか?」と、その時の気持ちに添いながら、
   ギャップを埋めていく。こういった反応に対しては、「そりゃ、そうだよね」と思
   う。ニュートラルな状態。同じ仲間として、考えている。

 Q.認知症友の会でのイベントはどのようなものか。
 A.当初は、前田さんの方で考えた(バーベキュー、餅つき等)。食事を挟んで、話し
   合う場をつくる。本人、家族が参加するイベントであれば、本人、家族が主体とな
   って会を引っ張っていかないといけないだろうと考えた。最初の1年は、こちらで
   引っ張って、土台を作った。その後、「この部分に関しては、本人、家族が中心に
   なって、そこをバックアップしていきます」とバトンタッチしていった。当初は、
  「なんで、前田さん抜けるの!」と、揉めた。

 Q.行政は具体的に、どんなサポートをしてくれたのか。
 A.つながりの会を立ち上げるとき、町田市に入ってもらうようにした。ただ、「職員
   です」ではなく「一市民」として入ってもらった。やりたいことを実現するとき、
   何が必要、何と繋がる?と話し合っていった。側面から、後ろからのバックアップ。
   良き相談相手。実行力のあるパートナー。役職としては課長、係長に入ってもらっ
   た。課長はユーミンが好き。そういう話しから入っていく。これは営業の基本。
   係長は専門職(保健師)。精神保健領域でつながっていたので、愚痴の言い合いを
   していた仲間。

 Q.スタッフが3名と少ないと感じた。役割分担はどのように行っているのか。
 A.前田さんは非常勤。常勤管理者と非常勤8名でシフト(1日3名)を組んでいる。
   08:30-09:30はスタッフの情報共有等、申し送りで準備。
   16:30-17:00 17:00-17:30でその日の振り返り。
   非常勤8名なので情報共有が難しい。情報共有ノートをつくって情報を共有してい
   る。月1回の研修会でスキルアップをはかっている。
   常勤を希望される方もおられるが、経営の観点から非常勤を多くしている。入れ替
   わりもある。スタッフの採用面接は2段階に分かれているが、最初はメンバーが行
   う。普通に、履歴書を見ながら志望動機や前の職場を辞めた理由なども聞いている。
   中には、繰り返し聞いている、ということもある。

 Q.ケアマネジャーとの情報交換は?
 A.ケアマネジャーがケアプランを自分で持ってきてくれる。そのなかで、話をする。
   講演会などの活動実績はケアマネジャーに届けている。

 Q.デイサービスでの就労をどのように介護保険の枠内で行うのか。また、自分の機関
   でやろうとしたとき、上司、所属機関にどう説明したらよいか。
 A.賃金でも報酬でもなく、謝礼としてお渡しする。事業所が利益を得ることがないよ
   う、企業から事業所が受け取った謝礼は出納帳をつけて管理し、メンバーに渡し、
   メンバー個々に受領のサインをもらう。また、能力に応じて、金額に差が出てはい
   けない。
   伝え方は上司による。費用対効果を求めてくる上司の場合、日本における最近のト
   レンドである「社会参加」は、基本法案、認知症大綱の中でも触れられている。国
   も進めている。小泉進次郎も…等といってはどうか。BLG!の前田さんが、通所系サ
   ービスに限らず、次回報酬改定の際に出るらしいと、社会参加加算の創設も議題に
   上っている、その流れの中で、われわれも、こうした本人の求めているサービスを
   行っていかなければ、事業所、法人の衰退に繋がっていく、そういう危機感を感じ
   ている、ということは自分だけでなくスタッフも抱いている、ということでどうか。

 Q.新しい取り組みを民生委員から拒否をされた経験がある。地域から受け入れられる
   努力はどのようにされているか。
 A.事業所はホンダの隣から、道路拡張のため移転した。移転先は住宅街。そこは40年
   前に作られた高級住宅街。企業の役員クラスの人達が住んでいる地域。プライドは
   高いが、システムを作るのは得意な人達。自分たちが高齢者になったときに、シス
   テムを通じて助け合える(時間貯蓄)。しかし、自分たちが高齢者になった今、そ
   のシステムが上手く働かない。それで、困っている人がたくさんいる。それで、地
   域ケア会議で話し合った。地域にどんな活動、サークルがあることをリストアップ
   し、地域包括支援センターと一覧を作った。賃貸の2Fには大家さんが住んでいる。
   その大家さんは地域包括支援センターのセンター長。そういう上手い巡り合わせが
   あって、やってこれている。

 Q.認知症の進行に伴って終了になった人はおられるか。
 A.おられる。本人の気持ち次第で、継続できる/できないが決まる。亡くなる前日ま
   で利用した人が2名いた、3日前までが1名。自分と周りの症状の違いで、ペース
   が合わなくなってきたと感じる人もいる。その人とは、良く話をして、継続するか、
   他のデイ(ゆったり過ごせる小規模のデイ)にするか、何回もお話ししながら決め
   ていく。

<前田さんから研修参加者へエール>
 ・困ったり、躓いたりすると思う。すごいしてきた。しかし、産みの苦しみと思ってや
  ってきている。次にやろうと思うときは、それほど苦しくはない、でも苦しい。きれ
  い事ではすまない。
 ・生半可な気持ちではできない。壁に当たったり、悩んだり、落ち込んだりしたとき、
  BLG!のパンフにメールアドレス(days.blg@gmail.com)が載っている。そこへ相談を
  いただければ。

6 参加者アンケート結果(抜粋)
<研修に参加した動機>
  ・入所施設で行えないか、思いはあるがどうしたらいいか悩んでいた。
  ・本人の居場所づくりや地域との連携に悩んでいる。
  ・若年性認知症の方の相談が増えてきた。相談に来られた時には退職や休職されてい
   ることが多い。
  ・もの忘れが増えてきたけど体は元気なので何か仕事ができないか、とか、デイで何
   か役割を持たせてほしいという相談が増えてきた。
  ・職場から居場所への移行にどのような支援ができるのか、知りたかった。
  ・事業所に記憶障害があるわかい方がおられるが、日々何か役割がないか検討してい
   るため。


<研修の感想>
  ・地域に出かけようと思う。
  ・家族のレスパイトばかりに目を向けていた。
  ・断られることを恐れなくていい。
  ・町田市だからできること、京都では実現は難しいと思っていたが、工夫や努力で成
   り立っていることが理解できた。
  ・ケアマネジャーとして、どういうアプローチをすれば、事業所の協力を得て実践で
   きるか考えたい。
  ・上下関係でなく、利用者でなく、1人の人間として対応していることに心が動いた。
  ・めげずに動く。
  ・諦めない。
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